こんにちは、ずばあんです。
今回は漫画の感想を述べさせていただきます。
「今どきの若いモンは」は吉谷光平先生が2018年からTwitter(現 : X)、のちにサイコミで連載を始めた作品です。
2022年には反町隆史さん主演で、ドラマ化されました。
内容は仕事もの、特に営業職についての作品です。「島耕作」シリーズや、「美味しんぼ」のようなカテゴリーに入ります。
主人公は総合商社の若手女性社員・麦田歩(むぎた あゆみ)で、その上司で営業課長である石沢一(いしざわ はじめ)は「今どきの若いモンは」が口癖の面倒見がいい優しい理想的な上司です。
この作品は一貫して、麦田が新入社員として総合商社・三ッ橋商事に入社し、営業部に配属されてからの、仕事での彼女の苦難と成果、挫折、成長を描いた作品です。
私はこの漫画がTwitterで連載されていた時から読んでおり、特に今のシリーズはこれ迄になく関心を持って読み、いつも次の話を楽しみにして読んでおります。
今日はこの作品の詳細と、そこからずばあんが読み取った意味と感想を語りたいと思います。
【内容】
ここでは、話の流れをシリーズごとにまとめて説明したいと思います。
(麦田1年目)
大学卒業後、大企業の三ッ橋商事に営業職で新卒入社した麦田歩は要領が悪く失敗しつつも、上司で第一営業課長の石沢一や、先輩の舟木、犬飼、営業部長の風間、第二営業課長の恵比寿などに見守られサポートされながら、営業職として契約締結にむけ努力する。
(麦田2年目)
入社2年目の麦田、そして第一営業課に新入社員が配属される。勤勉で誠実な金松、そしてギャルでメンタルが強いみーよんの2人だ。麦田はこの2人の先輩として面倒を見ていく。
方や、石沢、風間の数十年来の宿敵である、ヨツバ商事の鬼戸の攻勢が麦田らを襲う。
(不動産編)
麦田と金松は突如、系列の不動産会社・三ッ橋不動産への出向を命じられる。本社肝いりのプロジェクトを進めるためだという。麦田らは石沢らの元を離れ、三ッ橋不動産のユージ、ノブ、前田らと客に家を売り、夢を売っていく。
一方でヨツバの鬼戸も三ッ橋のプロジェクトに牙を向き、本社の石沢らも動く。
(スーパー編)
三ッ橋不動産から本社に戻ってきた麦田は、早速系列のスーパーマーケット・みつはしスーパーに出向を命じられる。経営が傾いているみつはしスーパーの経営コンサルタントとして麦田が選ばれたという。
スーパーには社員の松岡、清澄、古株の草井、そして本社からの出向組の沢、ゲン、赤巻専務がいた。社内のムードはちぐはぐで中々一丸になれない。その中で麦田は同志を集めながら責務に取り組んでいく。
一方でこのスーパー再建の裏には本社内の派閥争いが深く関わり、麦田の挑戦は社内外を巻き込む大騒動となる……
(麦田アラサー編)
みつはしスーパーから本社営業に戻った麦田は、社内環境の変化、石沢の部内異動、結婚を考える同期・後輩、そしていつの間にかアラサーとなった自身という状況に浦島太郎状態であった。
麦田は新しい上司・吾妻課長のもと、チームリーダーとして新入社員の朝比奈、遠矢を部下に率いて、石沢のような理想の上司を目指すも、現実を前に苦悩していく。その中で、同期の木村、そして久坊と久々に再会するも、それは麦田に新たな試練と変化をもたらす……
新章(就活編)
麦田は営業課から人事課に出向し、社員の採用に携わることとなる。就活生と向き合い悔いの無い仕事をしようと志す麦田であったが……
ここまでが、この漫画の今までの流れです。
どの話も登場人物の動きや表情が生き生きと描かれており、業務の詳細な情報についても一目で理解できるような画の構成が上手い作品です。
【ずばあんの感想】
ここからはずばあんによる感想です。各章ごとに述べていきたいと思います。
大変申し訳ございませんが一部ネタバレになる部分もございます。それを避けたい方は読み飛ばしてもらって構いません。
(麦田1年目)
理想的な上司・石沢、そして回りの営業部の人達
これは石沢課長の魅力的な人柄が伝わる章です。仕事を覚えるのが遅く、失敗を重ねる麦田を、励まし助け、ハラスメントから守る頼もしい理想の上司です。これは麦田のみならず、同じく部下の舟木、犬飼、後輩の恵比寿やゲンにとっても同じであります。
また、石沢以外の人物からの麦田への指導や教育の様子も描かれております。
第二営業課長の恵比寿は麦田ら新人職員に厳しく指導する人物です。それはかつて自身が入社した時の驕りと挫折、そこからの努力と成功の経験から、どんな資質の人間にも努力と成長の機会を与えたいという熱い思いからの行動です。そしてそれは麦田にもいい影響を与えております。
そのほか先輩の舟木や犬飼も、麦田の面倒を見てフォローをしていきます。特に麦田が営業の仕事でうまく行かなかった時の舟木の、「大人は何となくで物事を決めない。何かしら理由はある」「理由は何か簡単には分からないが、だからこそ仕事はやりがいがある」という励ましの言葉は私も好きです。
そのほか営業部の人々は麦田を様々な形で助け、励まし、その中で麦田も日々成長していきます。
(麦田2年目)
見られる麦田の姿、麦田に付いてくる者達
これは、麦田が持ち前の前向きさと行動力が発揮されはじめる章です。麦田は、新人の金松、みーよんという後輩を初めて持ち、先輩として指導していきます。麦田はタイプの違う後輩の世話に格闘しつつ、後輩は仕事に前向きな麦田を見て影響を受けていきます。
先輩は後輩の姿を見て、先輩も後輩に自分の姿を見せるという良い先輩後輩関係を見せつけられました。自分にも仕事場に後輩はいますが、はたして私そういう関係を築けてるでしょうか……
悪役・鬼戸/人間・鬼戸
話しは変わりますが、この章からヨツバ商事の鬼戸の存在が強くなります。実は鬼戸については前章で石沢らの宿敵としての因縁が語られております。鬼戸は冷酷でどんな卑怯な手を使い他人を蹴落としても自分は上に登り詰めるという悪役として描かれております。
しかし、この章では麦田らに陰で牙を向ける悪役として描かれつつも、方や家庭では家族を愛する理想の父親像も示されます。そして、鬼戸の少年期のトラウマ(実父の破産、いじめ)について語られ、そこから残忍な悪役と理想的な父親という人格の二面性が説明されます。「本当に大切な人間さえ守れたらそれでいい、どんな手を使っても」...
私はこの鬼戸のキャラクターに不思議と納得させられました。鬼戸にとっては妻や娘という「本当に大切にしたい人間」がいて、その家族を守るためには「どんな手を使っても」構わないという覚悟があるのです。
これは理想的な社会人である石沢(そしてその部下である麦田)とは対照的です。別の漫画ですが「島耕作」シリーズの主人公・島耕作も石沢と同じタイプといえます。道徳的な話を抜きに、私は鬼戸の内面について強く批判できる自信は正直ありません。人見知りでコミュ障の私は、自分が命を削ってでも大切にしたい人間の幅がものすごく狭く、そして他人もそういうものだろうと思ってしまうのですから。鬼戸が表している人間像は私の中にもあるのです。
だからこそ、色んな多くの人を大切にする麦田や石沢が何を語り、どう動くのかがいつも楽しみなのです。私もそういう人間に近づきたいのですから...。
(不動産編)
家を売る、夢も売る
麦田は金松とともに三ッ橋不動産に出向し家を売ることになります。麦田は客に寄り添い希望を叶えようとしつつも、様々な制約や衝突と直面します。
家は一度買えば数十年あるいは一生ものの財産となりうるもので、どんなに安くとも数千万円という高額な買い物となります。一括払いの用意ができなければローンを組まなくてはなりませんし、ローンの資格を有さなければ、もちろん家は買えません。
そのため住宅販売は理想を叶えるだけではなく、客の財力を慎重に判断し、営業マンが客を選ぶ必要もあるのです。
その現実の中で麦田は、ユージやノブという先輩社員に教えを請い、住宅販売のノウハウを吸収します。入社2年目で未だ契約ゼロであった前田も麦田の熱意に触発され、麦田とともに勉強をします。
家を売るというのは夢も売る仕事です。商品のスペックを見て購入するカタログの商品と異なり、その家でどんな生活を今後送るのかというビジョン、すなわち夢が商品なのです。これは麦田の客の希望に寄り添うという姿勢の発展形でもあります。そのためには客を見て、地域を見て、夢を描き示す能力が住宅販売には求められるのです。
前田は絵画の才能がありましたが、先輩から教わった審美眼とともに、自身の才能を以て、更地の土地に客の夢をイラストで示しました。
そして麦田は契約を取り、前田は入社初の契約を取ります。
人に夢を売るのは本当に難しいものです。人に売るものである以上夢想的過ぎではいけないですし(これはもはや詐欺です)、逆に現実を突きつけすぎてもそれは売り物として価値のあるものではありません(これもまた詐欺です)。
夢の価値は人間関係や社会でしか創造できないものですので、営業職の人の人間や社会を見る能力は不可欠と思います。特に住宅というあまりにも高額の買い物はそこにミスは許されないでしょう。そして、夢の価値を理解し、自分の描いた夢を客と語りあえる事はなおのこと重要だと思います。そこまで出来た人間が家を売り、夢も売るのです。
(スーパー編)
社内の不協和音と改革者
麦田はみつはしスーパーで経営コンサルタントとして出向し、スーパーの経営改善を目指します。しかし、みつはしスーパーの面々は皆バラバラで、経営改善に向けて纏まることすらただなりません。
麦田に賛同の姿勢を示すバイヤーの清澄や赤巻常務はともかく、そもそも仕事にやる気がないゲンや松岡、保身に走り事なかれ主義の沢、古株ながら社内で孤立している草井など、個々の社員の意識はバラバラです。
経営改革が求められるほどの組織なのでそんなものかと思うべきか、この状況を何とかしなくてはと思うべきかと思うのかともかく、私にとっては見ていてとても苦しい局面です。組織が破滅に向かい突っ走り、今居る者は自分の身のみを案じて今日さえよければよい。そして、組織の将来を案ずれば、変人のように扱われる。トラウマか悪夢か、私には苦しみの権化です。
しかしその中で麦田は尊敬する石沢の姿を思いつつ、出来ることを精一杯尽くし、社内外で協力者を集め、徐々に組織の改善を実現化していきます。それに反発したり妨害する動きがありつつも、その中で麦田の不屈の姿勢はさらに賛同者を集め、麦田はスーパーに欠かせない人間となります。
麦田のその姿はまさしく戦士の姿でした。涙を流しつつもひたむきにスーパーを守るために果敢に戦う姿は、まるで「北斗の拳」のケンシロウのような英雄の姿に重なりました。これは私の心に刺さり、これから辛いことがあっても出来るところから頑張ろうと思えました。
派閥争い
さてこのみつはしスーパーの再建ですが、本社の派閥争いの代理戦争の側面もあります。再建派の武蔵野常務と整理派の小立川の対立が、それぞれの派閥を巻き込んだ抗争となっております。その対立はみつはしスーパーとのライバル社や麦田の社外の協力者にも及びます。そして、意外な人物が小立川派として暗躍し、麦田の敵として対峙します。
私にとっても大変難しい話ですが、派閥というのは自分が生きる社会において強い力、もしくは暴力性を持つ集団として意識しなくてはいけないものです。そこから外れる無頼の生き方は、本当に個として強くないと出来ないものです。
「島耕作」も自身の務める初芝電産(のちのテコット)で、特に派閥に属さない無派閥として生きてきましたが、結局は島に賛同してきた多くの者達での「島派」のような存在を作中で指摘されております。
麦田はみつはしスーパーで孤軍奮闘するところから賛同者を多く集め強大な派閥を築きました。そしてスーパーが整理寸前となった時に、麦田はある人物を味方に付け危機を打開します。
やはりこれを見て最後に危機的な状況を打開するのは、人を集めようとする力なのだと痛感させられました。
(麦田アラサー編)
理想の上司と現実の上司
本社に戻ってきた麦田は、新しい課長の吾妻の元で、チームリーダーとして新人の朝比奈、遠矢の上司となります。麦田は石沢のような理想の上司になろうと頑張るも日々疲弊しやさぐれていきます。
その中で年に1度のBBQ大会の企画を任され、それを機に同期の木村、そして関西支社営業を経て人事部にいる久坊と再会しますが、入社当時は温和な性格であった久坊は攻撃的な性格に変貌しておりました。そして、久坊は麦田のチームの現状について語り、「ダメな新人」は見捨てて構わないという発言をします。麦田は自身は元々「ダメな新人」だったが石沢のお陰で成長できたと反論しますが、それに対し久坊は「俺は誰にも教わってない」と一蹴します。
久坊は初任地の関西支社営業で先輩に早々と身限られ干されていたのです。そこから木村ら同期に助けを求め、自分の力のみで仕事を覚え、成果を上げたのです。ちなみにこの当時の営業課長は吾妻でした。
この麦田と久坊の対照は、悲しいかなどこでもあると思います。麦田は石沢という理想の上司に出会い目標としておりますが、久坊はそもそもそのような存在が無いのです。久坊はその代わりに復讐心とも執着心とも分かちがたい攻撃性を芽生えさせエネルギーとし自分で育ち乗り越えてきたのです。
この久坊の例は復活を果たしたことで、それはそれとして立派な功績ですが、同じく吾妻の部下で成績不良を理由に退職した社員が少なくないことも作中で語られます。吾妻は自身が直接ハラスメントを行うことはありませんが、成績がふるわない見込みなしの社員に静養を理由に仕事を与えないという処置をとってきました。
しかし、その吾妻のやり方は間違っていると批判できるものなのかも疑問に思います。成績不良の者の変わりに成績良好の者にリソースを割くのはおかしなことではないですし、それだけで吾妻を叩くのは感情的すぎると思います。
吾妻に問題があるとすれば、長期的に組織を強くするビジョンがない事です。旧来のマネジメントの改変を怠り、自身が生き残るのみに腐心し、組織が荒れるに任せているのてす。
とはいえ、それを見て見ぬふりして触りたくないのは人の性かもと私も思います。久坊は吾妻の所業を知りつつも「(新人育成は)どうせみんな面倒臭いと思うとるやろ」と言っており、周囲への絶望の念が滲み出ているように思えました。
一方で石沢は久しぶりに会った麦田にこのようなことを言いました。「マネジメントに成功も正解もないからな」と。これは結局、マネジメントは試行錯誤の連続であり、真の正解はまだ分からないということなのです。理想の上司像が本当に理想なのかまだ分からないのです。
日本社会におけるハラスメント対策もまだ道半ばですし、これは失敗ではなく挑戦の途中なのかもしれません。
結婚しなくては?
話は変わりますが、麦田が本社に戻るとみーよんは婚活に精を出していました。みーよんは結婚適齢期で玉の輿に乗ることを目指しており、麦田はその意識の高さに圧倒されてました。麦田はこれまで仕事に一生懸命になり、結婚のことは微塵も考えてなかったのですから。
そして先輩である舟木と犬飼が結婚することが明かされ、麦田らも結婚式に縁者として参列しました。
実は私もアラサーでもうそろそろ若さという価値を滅失して、結婚が厳しくなる年齢に差し掛かっております。結婚するなら、異性にアタックして相手を見つけ、しっかりライフプランを立てて、これからの生活の準備を進めねばなりません。
私の知人が言うことには、結婚相手には自分の希望を100%要求することは出来ないので、何かしらは諦めないといけないと言われてますので、結婚相手は結婚相手として付き合う必要があると思います。また結婚を諦め独身で生きるにせよ、それはそれでしっかりライフプランを考えなくてはなりません。自分の生活を助けてくれる他人は、自分の世帯にはいませんので。仕事への姿勢もそれに伴い影響してくると思います。
やはりアラサーにとって結婚は避けがたい話題だと思います。
おしまいに
今日は漫画「今どきの若いモンは」(吉谷公平)の感想でした。この漫画は読むごとに面白いと思える作品です。
この漫画は主に営業職を中心に描いた作品ですが、営業職ではない仕事の方(私もそうですが)にも参考になることが詰まった作品だと思います。
これからの麦田の動きには益々目が離せません。
皆さまぜひサイコミや単行本などで「今どきの若いモンは」をお読みください。
今回もありがとうございました。
2025年1月20日