ずばあん物語集

ずばあんです。作品の感想や悩みの解決法などを書きます。

他人に悩みを相談できない人たち

こんにちは!ずばあんです。

皆さま安心して生活を送れていますでしょうか。コロナによる健康上の、経済上の不安を抱かれている方は多いと思われます。そのような不安は然るべき所に相談して解決されなくてはなりません。

 さて、このような場面で他人に悩みを相談できない人という方がいらっしゃいます。かくいう私もその一人ですが、このような人はなぜ他人に相談しようとしないのでしょうか。

〈悩みは相談しなくてはいけない。だから―〉

 人に悩みを相談しない人は、一見しますと人に相談することの大切さを理解してないかのように見えます。ですが、相談してこない人は皆そうなのでしょうか。
 悩みは他人に相談して解決すべきだ、と言われたときに「ああそうだなぁ。悩んだときは他人に相談すべきだな。」と思われる方は少なくないでしょう。ですが、そう思いつつも悩みを抱えているのにいつまでも相談しない人は沢山いらっしゃいます。彼らが悩みを相談しないのは、「悩んだ時には」人に相談すべき、だから「悩んでいない時には」相談すべきではないと考えているからです。
 悩んでいない時には相談すべきではないと考える理由は、相手方に無駄な時間を取らせて失礼にあたるとか、相手が不機嫌になることがあるからなど様々です。そのような方は「悩み」にハードルを設け、「悩み」が大きくならないとはっきりしないと相談してはいけないと考えがちなのです。どんなに苦しくとも、「悩み」に足らない事案は相談せず、結果悩みが大きく膨れ上がってから悩みが発覚することが多くなるのです。これが人に悩みを相談できない人たちの行動です。
 
 一方で、よく人に悩みを相談する人の行動パターンを見てみましょう。他人に悩みを相談できる人は、ちょっとした疑問やモヤモヤがあるとすぐ誰かに相談します。さして重大じゃないことや取り止めが無いはっきりしないことも相談します。もしかすると悩みと言うほどではないことも相談しています。
 これは一見すると無駄な行いに見えるという人もいるかもしれません。悩みもないのに相談するなんてという人もいるでしょう。ですが、この行為は無駄ではなく、理にかなった行為です。
 悩みというのは小さなことや漠然としたことが積もりに積もって大きくなるのです。それが大きくなると、合理的に説明するのがますます難しくなり、それが悩みを相談しにくくさせます。そもそも悩みは的確に論理立てて合理的に説明できないから悩みなのです。
 だから悩みは非合理的でフワフワしたうちに相談していいものなのです。何か不安だ、気持ち悪い、いやだ、それが悩みを相談する理由になるのです。
 そうはいっても現に些細な悩みを言うと嫌な顔をする人はいるじゃないかという人はいらっしゃいます。実際に嫌な顔をされる方はいらっしゃいますが、そのような方にはもう今後相談しない方がいいでしょう。「誰にでも相談する」と書きましたが、それはあくまで最初の話であり、当然悩みを聞ける人間/聞けない人間は見定めて選ばなくてはなりません。個々人には得手不得手があるので、悩みを忌憚なく話せる人にのみ悩みを言えばいいことですし、悩みを聞くのが下手な人には苦手なことはさせないようにするものです。

〈悩みを聞かなきゃいけない。だから―〉


 さて、悩みを持ち相談する側になることもあれば、こちらが他人の悩みを聞く側になることもあります。その時に皆さまは何をしますか。
 どの人も考えることは、どうすれば相手の悩みを解決できるかということでしょう。そもそも相手がそれを望まなければ、こちらに相談してくることはあり得ないのですから。もし悩みが解決出来たならば、それは悩みを聞くことに成功したことになります。
このように言われたときに、まずは解決策を考える人が多いと思われます。相手の話すことを聞きそれに対する的確な解決策を提示し、悩みの解決に導く、このような青写真を描く人は多いです。実際にそれができる人は、悩みを聞く側として信頼できる人となるでしょう。「もし」出来たらの話ですが。

この悩みを聞くという問題について、漫画「ドラゴン桜」は次のように向き合っています。

高校の経営に携わり、高校の進学校化を目指す弁護士・桜木は高校の教員・落合から「進学以降の生涯を見据えた綿密な進路指導プログラム」を提案されるも、無理があると却下します。それでも反発する落合に対し桜木は「もし生徒が、東大進学を諦めたいと言ってきたらどう答えるつもりだ。」と問います。

さて皆さまが高校教員の立場でしたら、どうお答えになりますか。この問いに対する適当な返答とは何でしょうか。

先程のシーンの続きです。落合は「どうして諦めたいの?と答えます。」と回答。これに対し桜木は「それが答えられたら悩んでいないだろ」と返します。その後も落合は試行錯誤し様々な回答をしますが桜木から全部ダメ出しを食らいます。

先程私は、悩みはふわふわとした不合理的なものであると申し上げました。悩みというのは問題点が明らかになっていないのが常で、それに対する解決策を一発で出すのは困難なのです。仮にすぐに問題点が分かって解決策を出せてたら、それは悩みの中でもほんの一部のラッキーなパターンなのです。悩みを相談されたらすぐに解決策を提示する人は、実は悩みを聞けていないのです。

問答の末に回答が尽きた落合。ここで桜木は「生徒の言ったことをオウム返しで復唱しろ。」と言います。そうすれば、生徒は本音を言いやすくなり悩みに対して整理がつくようになると言います。

悩みを相談することは、まずは悩みを打ち明ける所からスタートするのです。そこで悩みを聞く側は悩みをちゃんと聞いているという意思表示をします。これが桜木の言うオウム返しなのです。するとお互いに信頼関係が築かれ、それまで話せなかったことを話してくれるようになります。これにより、それまで人に言えず心の中で渦巻いてた悩みをようやく整理することが出来るのです。悩みを「聞く」というのはまさしくそういうことなのです。

逆に言えばそれが出来ない人やそれに疑問を抱く人は悩みを聞くのに向いていないと思われます。他人の悩みに対しすぐに解答をする人は、「解答が早い人」であって、悩みが聞ける人ではないのです。悩みというのはすぐに解決することができないほどぐちゃぐちゃしているので、まずは悩みを聞くことが大事なのです。悩みを聞かされるのに値する行動をとるべきなのです。

〈悩みを解決するために〉

悩みを聞くためには、字面通り「聞く」ことが肝心です。では、ただオウム返しで聞くだけで終わっていいかというとそうではありません。やはり悩み相談を受けて、問題は解決されるべきなので、ここからはお悩み解消の仕組みについて説明します。今回は実業家の岡田斗司夫さんの話を参考に語らせていただきます。人に悩みを相談できない方もお悩み解消の参考のために見ていただけたらと思います。

岡田斗司夫さんは、昨年まで朝日新聞の「悩みのるつぼ」でお悩み相談を受け付けておりました。岡田さんは約10年にわたり「回答者」を務めてきた経験について、YouTubeなどでのご自身の動画で語っていらっしゃいます。
岡田さんは自らが担当するお悩み相談に対して、「まずは相談の文面をそのまま受け取らず、言葉の裏を読み、その人の悩みや問題を把握する。」と仰っています。これは、悩みを相談する人はそれをそのまま打ち明けることはしないからです。直接的に言いたくないこと、言ったらまずいことなどあるので、相談者は遠回りな表現をすることがよくあるのです。
例えば、「友達同士は恋人になれるのであろうか」と自分の知人が言ってきたときに、その方は問答をしたいのではありません。これは恋愛関係に関する悩みの相談なのです。
そうした相談に対して、岡田さんはその人の本当の悩みを読み取り、更にそれを解決可能な問題や課題に置き換えていくと仰っています。そして、その問題の中でも何よりも先に解決すべき問題(金銭問題など)を優先して解決するようにアドバイスすると述べておられました。

これは先の二つの章の内容と絡んできます。悩みを相談する人は、よく相談するか否かに関わらず、自分の内面や素性を全部打ち明けてるわけではないのです。悩みを相談する時は、必ず何か言外に悩みの核心があるものなのです。これは意地悪でも不信感でもなく当たり前のことなのです。そんなものをはっきり言えないからこそ、自分が抱えきれない悩みになっているのですから。
悩みをひたすら聞くことに徹すべき理由はそこにあるのです。相談者の悩み、問題は最後まで聞かないとどうしても分からないからです。的確なアドバイスをするためには、的確な問題把握が必要です。そのためにはまず聞くことが大切なのです。

ここから更に岡田さんは問題・課題の解消法について5通りの方法があると仰っています。その方法は、①解決する・②逃げる・③保存する・④忘れる・⑤共有するです。①の解決するとは、問題そのものの解決策を実行することです。②の逃げるとは、問題解決そのものから逃げ、我関せずを貫くことです。③の保存するは、今すぐには解決策がないので問題を先送りにすることです。④の忘れるは、自分の利益に関わらない問題は忘れるということです。⑤の共有するは、悩みを一人で抱え込まず他人と共有することです。
この内①の解決策を提示するというのは、相談を受けた皆さんがまずやろうとすることですが、岡田さんは①のケースについて「多く見積もって全ケースの1割、もしかすると1%程」と仰っています。実は、解決策を提示して悩みが無事解消するパターンはかなり少ないのです。むしろ問題解決に依らないお悩み解消のケースが圧倒的多数を占めるのです。 ②~⑤の方法は問題そのものは解決していませんが、悩みは解消されています。

私たちはお悩み解決には問題そのものの即時解決が重要だと考えがちですが、実はそこまでしなくてもいいのです。なぜなら、私たちは普段問題だらけの世界で生活しているからです。
例えば私たちが将来100%直面する問題に「死」の問題があります。人が一人亡くなると、葬儀の手取りはもちろん相続、権利関係における問題が必ず生じます。自分の家族や親類、友人、関係者の死の際はこの問題に必ず巻き込まれます。ですが、その問題について誰もが年がら年中悩んでいるということは無いはずです。自分がその問題に直接巻き込まれたら当然悩みますが、そうでもないのに悩むことは無いのです。
つまり、相談者が悩ましい問題と関係なくなれば、悩みは解消されるのです。その方法は問題解決のみならず、上の岡田さんが示した②~⑤の方法でも可能なのです。

〈最後にすばあんから。「悩みは必ず解決する」〉


ここまで読まれて、他人に悩みを相談したいと思われた方や、一方でまだ相談する気になれないという方もいらっしゃると思われます。
私もここまで書かれたことを読んですぐに自らが実行できるかというと出来ないと思われます。私は「他人に悩みを相談出来ない人」なので、もし私がここに書いてあることを実行して、上手くいけばいいものの、失敗したならばもう二度と信用しないと思います。この私と似たような考えの人は、ずばあんは嘘つきだ、詐欺師だ、無能だ、消えてほしいと思われるかもしれません。

そのため私は、今まで書いたことをすぐにやるべきとは申しません。もし疑いがあるのであれば、その前に試していただきたいことがあるのです。それは「自分の悩みを紙に書き出すこと」です。
どんなに崩れた文章でも構いません。どんな言葉でも構いません。人に見せられなくても構いません。自分の苦しみの思いの丈を紙なり何なりに書くのです。

私はこれまで人に言いたくない悩みを沢山抱え続けてきました。それを誰にも頑として言わなかった時もあれば、逆に開き直りかなり過度に自分のことをさらけ出して悩みから逃れようとしたこともありました。どちらも自分にとっては精神的負担が大きく、何をやっても悩みは逆に増えていきました。
そんな私が心が楽になったのは、自分の悩みや不安を日記としてつけるようになってからです。詳細は別の記事に書いてありますが、これにより以前より精神は安定し、ストレスが溜まることは少なくなりました。

これまで書いてきた内容と矛盾するようですが、本当に相談したくないことは相談しなくてもいいと思います。まずは自分が悩みを自覚し、悩みを解消出来るのであればそれでいいと思います。ただ、その解消のために他人の力が必要ならば、その時はしかるべき人に相談していいと私は思います。

これからの先行きは不透明ですが、せめて自分の利益を守っていただけるよう行動していただければと思います。



2020年8月7日


〈補記・私の体験談〉


本編では悩みを解決する方法を具体的に説明しました。本編の最後にはどうしても相談出来ない人向けに、悩みを書き出すという方法を示しました。
この悩みを書き出すという行為ですが、私の体験によると、悩みを人に相談しやすくなるという効果もあると思います。

私は悩みを書き出すという行為により、自分の本当の悩みを引き出すことに成功しました。それまでは悩みがあまりにも多すぎて人に相談できなかった私でした。ですが、ストレス解消のつもりで自分の素直な気持ちを書き記す内に、自分の悩みを綺麗にまとめることが出来るようになったのです。

それを元に自己解決したことも多かったのですが、それと併せてこれまで言えなかった自分の悩みを上手く言えるようにもなったのです。これまで言語化できず説明を諦めていたことを、はっきり言葉として説明出来るようになったからです。

これは一個人の体験談を越えませんので本編には記しませんでしたが、一成功例として載せるメリットはあると思い補記いたしました。


(2020年8月27日)